ーーー

ーーーーー


「…」

自動販売機と、にらめっこ。

飲んでいいのは、
ミネラルウォーターかノンカフェインのお茶。

飲みたいものは、
お茶のすぐ下に表示されているオレンジジュース。

プルプル震える指が、オレンジジュースを欲している。

とても、とても欲している。

ーーが。しかし、

ガコンッ…!

選んだのは、ノンカフェインのお茶。

なっ、泣きたいっ…!!

グスッと鼻をすすりながら病室へ戻ると、見慣れたちょっと猫背な背中が視界に入ってきた。

「…っ、旦那さん!」

「あ、」

わたしの声にすぐに反応して駆け寄ってきてくれる愛する人。

ガチで泣きそうなわたしをそっと抱きしめて、

「良かった。思ったより元気そうで」

ホッと息を吐いた。

大好きな旦那さんの匂いに包まれて、わたしも身体のちからが抜ける。

「どうして?お仕事は?」

「今日は部長に無理言って休ませてもらったよ。…明日は会社行かなきゃなんだけどね」