そんな真っ暗な中、非常口の緑と、エレベーターのボタンだけがボウ…と光っていて、それがまた恐怖心を煽ってくる。

看護師くんはそんなエレベーターのボタンを押し、待たずして開いた扉に素早く乗り込むと「9階」のボタンをポチッと押した。

ここはお世辞にも新しい病院とは言えない。

いやもうぶっちゃけ古い。ゆえに立て付けも悪くてエレベーターもガタガタと揺れる。

ふわり。と言うよりは、ぶわんっ。と言うような重力を感じた後に扉が開き、これまた真っ暗な廊下を突き進む。

そして、『905』と書かれた部屋に入ると
待っていた女の看護師さんを確認した看護師くんは、

「じゃあ僕はこれで」

と、去っていった。

その姿をぼんやりと見送っていると

「さぁさっ、パジャマに着替えましょうか!荷物は旦那さんから預かってきたからねっ」

荷物…。

そうだった。もういつ入院ってなってもいいようにと入院グッズを車に積んでいたんだっけ。