F「おじさん…私の部屋で何やってんの?」

Fが高校から帰ってくると、自分の部屋には見知らぬ男がいた。

「…え?」
F「え?じゃないよ。通報しますね。」

そう言ってFはポケットからスマホを取り出した。

お「ちょっ…ちょっと待って!?」
F「は?待つわけないじゃん…。物色はされ てないみたいだけど、不法侵入だからね?」

Fが警察に電話をかけようとしたとき、見知らぬ男は動きだした。

お「君、僕が見えるのかい??」

動いた男は宙に浮いていた。Fは目と口を開き、スマホを手から滑り落とした。

F「あ…またやっちゃった…。」

Fは急いでスマホを広い、男に背を向けた。

F「知らない。知らない。見えてない。見え てない。」

そう言ってFは両手で目を隠した。

お「いやいや!見えてるでしょ!?さっきまで話してたじゃん!?」
F「……。」

Fは今度は耳を塞いだ。

お「お願いだよ!!助けてくれよ!!」
F「嫌だ。」
お「君だって見えるってことは知ってるんだよね?幽霊が成仏できなかったらどうなるか…。」

Fは振り返りながら言う。

F「悪霊になる。」
お「そう!だから、おじさんの名前と本当の 姿を思い出す手伝いをしてくれよ!」
F「うっわ…。何も覚えてないなら無理。尚更嫌だよ。」

Fは嫌そうな顔をする。

お「お願いだよー!人助けだと思って… ね?」

男はあきらめずに説得を続ける。

F「私、人助けはするけど幽霊は助けない主義なの。」

「あいつまた1人で喋ってるー!!」 「気持ちわりぃー!!」 「頭おかしいんじゃないかしら?」

Fは唇をかみ締めた。

お「元は人間だよ?」
F「じゃあ、おじさんは元は可愛いハムスタ ーだったからって触ったら病気が伝染る ような捨てられたハムスターを助ける の?」
お「ハムスターって…。別に病気が伝染るわけじゃないじゃん……。」
F「私には伝染るの。こっちだって幽霊助けるのにそれなりにデメリットがあんだ よ!!!」

Fは大声で怒鳴った。

お「……。」
F「分かったなら、出てって…出てってよ!!!」
お「分かったよ…。」

男は寂しそうに去って行った。

F「分かってる…おじさんが悪くないことくらい…。」