「……どーも」
でも作業しやすくなったみたい。黒澤先生はさっきよりも手際よく掃除を続けていく。
キレイになって、水を入れて、グッピーを戻して終了。
「あーあ、終わった終わった」
手をきれいに洗ってタオルで拭いた黒澤先生が、腰に手を当てながら体を逸らす。
そして、顔だけをこちらに向けた。
無言のままじーっと見られる。
……あの、なにか……?
すると、私の方にじりじり近寄ってくる。
だから私は、後ずさりする。
「えっ……」
けれど、永遠に部屋が続いているわけじゃないし、壁に背中がついてしまった。
な、なんなの……?
私の顔をまじまじ見つめる黒澤先生。すると。
まくり上げられたままの腕が伸びてきて。
すっ、と。
ごく自然に、私のメガネを外した。