「黒澤先生」


「あ?」


そう呼ぶと、手を止めてこっちを見る黒澤先生。


ううっ。それだけでも威圧感があって怖い。


「あ、あの……腕、貸してください」


「は?」


浮かせた両手に、ゴムをはめて腕の上あたりで止めた。


うん、きつくもゆるくなく、大丈夫みたい。


「これなら落ちてこないと思います。あっ、私のゴムなんかで申し訳ないですけど……」


恐る恐る言うと、じーっと私を見つめる黒澤先生。


な、なにか……?


そんなに見られるのは気まずくて、私からパッと目を逸らした。