ビクッ。


黒澤先生はすごく背が高いから、横に立たれると威圧感がはんぱない。


「……えと、周りのぬめりを、このスポンジでこするんですけど……」


おどおどしながら答えると、


「貸して」


黒澤先生は私からスポンジを奪い、水槽に手を突っ込んで洗い始めた。


……すっごい面倒臭そうに。


「あーあ、こんな雑用まで頼まれちゃたまんねーよね。こっちも今日のレポート上げなきゃなんないし、暇じゃないっての」


わ、口も悪い。


でもそうだよね。こんなことするわけに実習に来てるわけじゃないもんね。


これって、はっきりいって先生たちの趣味だし。


そう思ったら、ちょっと黒澤先生が不憫に思えてくる。


「あ、あの、大丈夫ですよ。黒澤先生は自分のお仕事をしていてください。岡本先生には、黒澤先生が掃除したことにしておきますからっ……」