「ねえ、早く呼んでみてよ」
急に甘えたような声を出す新城くん。
無意識なのかな。そんな声出さなそうなのに。
単純な私はギャップにやられちゃって。
「な、凪くん……」
素直に口にすれば。
「よくできました」
新城く……凪くんは満足そうに笑って、私の頭をポンポンと軽くたたいた。
なんだかときどき、子どもみたいなんだよね、凪くんって。
そのとき、後ろのドアから黒澤先生が入ってきて、タイミング悪く目が合ってしまった。
わっ。
変なところ見られちゃった。
「チャイムなってるぞー、日直、号令―」
1時間目は岡本先生の授業なんだ。
「あーあ、もう先生来ちゃった」
凪くんは眉を下げて残念そうな顔をする。
「じゃあね」と、凪くんは名残惜しそうに自分の席に向かい、私もあわてて椅子に座った。