「ねえ、俺のこと凪って呼んでよ」
「ええっ!?」
続けて今度はそんな要求。
ちょ、ちょ、それは……。
新城くんは声のボリュームを落とさないし、気が気じゃないよ。
それに……男の子のことを名前で呼ぶなんて……ムリっ。
「俺のこと、友達だと思ってくれてるならいいでしょ?」
「とも、だち……」
言われた言葉をゆっくり繰り返す。
「そ、友達」
新城くん、私のことを友達だと思ってくれてるのかな?
親友の妹、としてじゃなくて?
だとしたら、単純に嬉しいって思った。
男とか女とか関係なくても、私には萌花ちゃんしか友達って呼べる子はいないから。
私、友達に飢えているのかも。