「もしかして嶺亜、心配してるの? 萌花ちゃんが黒澤先生に惹かれないかって」


「はっ? な、なに言ってんだよっ」


嶺亜はわかりやすく動揺した。いつも余裕たっぷりの顔が、耳まで真っ赤。


ははーん。そういうことか。


この話題を出してきた一番の理由はそれだったんだね。


でも、その逆もありえる。


黒澤先生が萌花ちゃんを口説いちゃうなんてこともあるかも。萌花ちゃん、めちゃくちゃ可愛いから。


「大丈夫だよ! 萌花ちゃんのことは私がちゃんと守るから!」


こぶしを作って、任せなさいと、どんと胸をたたく。


私に出来ることはそのくらいしかないし! 


「お、おう……頼むわ」


嶺亜は自分の心配を素直に認め、珍しく下手にでてきた。


やっぱり嶺亜くらいのイケメンでも、大人の男の人には危機を感じるのかな?