「ったく、冷めたわ。もういいし」
オールバック男子はそう言うと立ち去り、金髪男子も逃げるようにすり抜け去って行った。
はあっ……。
私はようやくちゃんと呼吸ができた。
男の子同士のけんかって、ほんと心臓に悪いよ。
「何があったんだよ」
事情をしらない嶺亜が、私と新城くんを交互に見る。
「乃愛が、あいつらのケンカに巻き込まれてさ、ほら」
新城くんが言うと、嶺亜がほっぺの傷に気づいた。
「げっ、マジ!? 今度あいつらに会ったらただじゃおかねえし!」
「や、やめてよっ!」
嶺亜なんて一瞬でやられちゃうよ!
記憶の限りでは、嶺亜が男子と殴り合いのケンカしたとか一度もないもん。