「まあ……簡単に言えば一目惚れだけど……」
「ふうん……」
嶺亜が警戒するのもわかる。
周りから地味だと言われている乃愛だ。
「いやっ、もちろん中身も!」
1年前の出来事を伝えると、だんだん嶺亜の顔も緩んできた。
「なるほど……。まあ、乃愛の良さに気づいたってのはさすが俺の親友だよな」
兄からのオッケーはもらえるのか?
「お前なら安心して乃愛を預けられるな」
よしっ! 嶺亜からそう言われればもう無敵だ。
「でもなあ……」
「ん?」
「乃愛はガードが固いからなあ。男慣れなんて全くしてないし、むしろ警戒心しかないだろ」
「そうだな」
俺が目を見ただけで反らされるし。ずっと敬語だし。
「これだけは約束しろよ」
「なに?」
「ぜってー泣かせるな」
「……」
「たとえ凪でも許さねーから」