えっ、もしかして、さっき見たのは新城くんだったの!?


「な、なんだ……」


そうとわかれば気が抜けて、私は床に崩れ落ちるようにぺたんと座った。


新城くんはとにかくイケメン。


身長は178センチある嶺亜よりも高くて、校内でもモテモテで有名な人。


目も鼻も口も。少女漫画のヒーローを再現したようなパーフェクトな造り。


薄茶色の瞳がどことなく柔らかさを演出していて、ついた異名は王子様。


バスケ部に入っていて運動神経も抜群だし、テストでもいつも成績上位者として名前が載っている。


GW明けに髪色をアッシュグレイに染めてきて、「激似合ってる!」って、女の子たちが騒いでたっけ。


同じクラスになって1ヶ月ちょっと経つけど、まだ私はまともにしゃべったことはない。


パーフェクト人間すぎるから、恐れ多くて近づけないんだ。