どくんっ。
いまは凪くんとこの家にふたりきり。そんな状況が余計に緊張をあおるけど。
私は凪くんが広げた手の中にちょこんと座った。
足が丸見えで恥ずかしい。気持ちTシャツの裾を引っ張る。
「乃愛、すごくいいにおいがする」
「そ、そうかな。でも、凪くんのおうちのシャンプーとかを借りてるんだから、凪
くんだっていいにおいがするはずだよ」
くんくんと、凪くんの首元に鼻を近づけると
「可愛い」
ほっぺたを両手で挟んできた。
んんっ!?
そこに凪くんの顔が近づいてきて、タコみたいになった私の口に自分の唇を押し当てた。
「んーーーーっ」
やだ。私いま絶対にブサイクだよ……。
こんな状況でキスするなんて。
しかも、真っ赤になってると思うから本当のタコだ。