やがて戻ってきた凪くんの手にはドライヤーが握られていた。
「髪乾かした方がいいよ」
「ありがとう」
ドライヤーを受け取ろうとしたら、凪くんは私の髪に触れてドライヤーのスイッチを入れた。
「え、あのっ、私自分で……」
「いいから俺にやらせてよ」
凪くんは私の後ろにあるソファに座り、髪に指を通しながら器用に乾かしていく。
うわあ。凪くんに髪を乾かしてもらうなんてどきどきしちゃう。
でもすごく気持ちがいい。
目を閉じてうっとりされるがままになっていると、
「乃愛の髪、すごくきれい」
いつの間にか乾かし終わっていたみたい。凪くんが髪をすくい、チュって口づけた。
「乃愛、こっちおいで」
そして、ソファの上から両手をひろげた。