この季節、半袖シャツ1枚で十分だし、寒い時に羽織るカーディガンは教室に置き
っぱなし。
「こんな姿で帰せねえよ……」
困ったように呟く凪くんに、私もどうしようかと考える。
雨はまだ降ってる。
最悪、カバンを胸に抱えて走って帰れば大丈夫かな。背中側は仕方ないから忘れよう。
凪くんが、何か思いついたようにパッと顔をあげた。
「そうだ。ここからだったら俺んちの方が近いから、いったん寄って制服乾かそう」
「えっ、凪くんち?」
「その方がいいだろ。早く拭かないと風邪ひくし」
濡れてるのは私だけじゃない。凪くんだって同じくシャツから肌が透けて見えちゃってる。
また、熱が出たら困るよね。
「う、うん。わかった」
ここからは徒歩で10分くらいみたい。このまま凪くんの家に向かうことになった。