乃愛とこうしてふたりきりになるのは、ずいぶん久しぶりな気がする。
真帆が転入してきてからはすれ違っていたし、そのあとすぐに俺が風邪をひいて。
せっかくの時間を無駄にしたな。
「体調はどう? もう大丈夫?」
少しもじもじしながら、乃愛が顔をあげる。
「うん、大丈夫。乃愛がそばにいてくれたおかげだよ」
あの時は熱のせいでよく状況が分かっていなかったが、乃愛が早退までして俺の看
病をしてくれたと分かった時は、信じられない気持ちだった。
早退させてしまって申し訳ない気持ちと、俺のためにそこまでしてくれたんだっていう嬉しい気持ちが混ざって。
「そ、そんなこと……」
髪を耳にかけながら顔を赤らめる乃愛。
やべえ。可愛いすぎて押し倒したくなる。
いつものように手が伸びかけて。