「お母さんとふたりの生活は大変だったし、中学の時に嫌なこともいっぱいあった。けど、頑張れたのは、凪くんがくれた言葉だよ」


でも、真帆の俺への好意が、恋愛からくるものではなく、4年前の延長と軽く思っていたのが甘かった。


「私、凪くんのことが好きっ……」


真帆の想いが明確になったとき。


──ガンッ。


物音がして顔を向けると、そこには焦ったような顔の乃愛がいた。


今度こそ、体を離す俺。


……一番見られたくない相手に見られてしまった。


俺はひどく動揺した。


「ご、ごめんねっ」


なぜか謝った乃愛は、その場から駆け出した。


「乃愛っ……!」


絶対に誤解された。やばい。まずい。早く誤解を解かないと。


追いかけようとした俺を、真帆の手が引き留めた。


「待ってよ凪くん」