『私がこの高校に転入してきたのは偶然じゃないよ。凪くんに会いたかったから。
凪くんの通ってる高校を調べて、そこに編入できるように試験も頑張ったの』


そう言われた時、俺と真帆の想いに温度差があることがはっきりした。


真帆は、俺を……。


「ずっとずっと会いたかった……」


そう言って俺に抱き着いてきた真帆を、すぐに振りほどけなかったのは、つらかった気持ちが分かっていたから。


大好きで自慢だった父親に裏切られた真帆は、物心ついたときには父親がいなかった俺とは比べ物にならないくらい寂しい思いをしただろう。


俺が真帆の救いになっていたとしたら、それは本望だし。