やだっ……。
「私、凪くんのことが好きっ……小学生のあの時から、私、ずっと凪くんが好きだった」
こんなの見たくない。
「真帆……俺は……」
……っ!
激しく動揺したのは、凪くんが河村さんを名前で呼んだから。
磁石のようについていた足が、急に意識とは別に動いてしまい。
──ガンッ。
入口のドアにつま先が当たってしまった。ガラス戸がついている扉は、思った以上に音を立てて。
あっ……と思った時には、ふたりの視線がこっちに流れていた。
「ご、ごめんねっ」
私はとっさにそう口走って、
「乃愛っ……!?」
驚いたような凪くんの声を背後に、私はそこから駆け出していた。