昼間は静かな音楽室。わざわざ人目につかないこんな場所で会っているなんて、普通の関係じゃないって思えて仕方ない。


解消させたかったモヤモヤは二人のことなのに、ここで二人に会うなんて皮肉すぎ
る。


どうしよう。


引き返そうとするのに、足が磁石みたいにくっついて動けないの。


「私がこの高校にきたのは偶然じゃないよ。凪くんに会いたかったから。凪くんの通ってる高校を調べて、そこに編入できるように試験も頑張ったの」


河村さん……。


それはもう、凪くんを好きってこと。


そんなの、今までの言動からは分かっていたけど、真正面から伝えるなんて。


「ずっとずっと会いたかった……」


そう言って、凪くんに抱き着き、腰に手を回す。