背後から声がかかり、ひやっとして振り向くと、お風呂から上がった凪くんがそこに立っていた。
タオルを首からかけて。
濡れた髪のせいか、いつもより幼く見える。
凪くんに可愛いなんて表現おかしいけれど、そんな凪くんに、胸がどくんっと高鳴った。
「ご、ごめんねっ……」
勝手に部屋に入っちゃって、何も言い訳が思いつかない。
「もしかして、それ食べたいの?」
凪くんが指さすのは、テーブルの上のクッキー。
「へ?」
そんなつもりは決して……。凪くんの方からクッキーに触れてくるとは思わなかった。
てか、クッキーを見てたことわかっちゃった。はずかしい。
「俺、お腹いっぱいだから欲しかったらやるよ。よく夜食にお菓子食べてるでし
ょ?」
うっ……バレてる。