はぁ……。


モヤモヤしちゃってしょうがないよ。


好きって苦しい……。



リビングを出ると、和室のドアは開きっぱなしになっていた。


言った通り、凪くんはお風呂に入っているみたい。


「あっ」


そっと和室を覗くと、テーブルの上には河村さんからもらったクッキーが置いてあった。


まだ手を付けていないのか、袋の口は開いてない。


部屋の中に入って見てみると、クッキーはハート型にくりぬかれていた。


もうこれは好きですと言っているようなもの。


堂々とハート型のクッキーを渡すっていうことは、お互いの気持ちがちゃんとわか
っているからなんだと思った。


河村さんは、凪くんを。


凪くんも、河村さんを──。


「なにしてるの?」