俺は雑巾を置いて、藤森に歩み寄った。


「藤森だって、日直じゃないだろ」


指さした先には、日直の名前が書かれている。


さっき廊下で会った、平田の名前。


「あっ……、それは平田さんのお母さんが病院に入院──」


「藤森さんて、お人よしだよね」


言葉をさえぎって言うと、


「……っ、それは、困っているときはお互い様だからっ……」


ちょっとムッとしたように反論してきた。


控えめなくせに、負けず嫌いを垣間見せるそんな態度は、嶺亜と似ているのかもしれない。


「ふーん。もし平田が嘘をついていたら?」