俺は雑巾を置いて、藤森に歩み寄った。
「藤森だって、日直じゃないだろ」
指さした先には、日直の名前が書かれている。
さっき廊下で会った、平田の名前。
「あっ……、それは平田さんのお母さんが病院に入院──」
「藤森さんて、お人よしだよね」
言葉をさえぎって言うと、
「……っ、それは、困っているときはお互い様だからっ……」
ちょっとムッとしたように反論してきた。
控えめなくせに、負けず嫌いを垣間見せるそんな態度は、嶺亜と似ているのかもしれない。
「ふーん。もし平田が嘘をついていたら?」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…