「やっぱりそばにいる人に、心は動くと思うんだ。距離には勝てないよ」
「そうかなあ……」
凪くんの気持ちは全然わからない。
私のこと、どう思ってるんだろう。
私、凪くんとキスしちゃったんだよね。
正確に言えば、体育祭の日にもうファーストキスはすませてたんだ。……私の知らない間に。
わぁぁぁ。
「乃愛ちゃん、顔真っ赤だよ」
「うー」
両手を頬に当てれば、熱が出た時にみたいに熱くなっている。
まずいっ。
こんなとこ凪くんに見られたら、なにを暴露してるんだって思われるよね。
「大変大変、うちのクラスに転入生が来るよ!」
そのとき、そう言いながら慌てたように教室に飛び込んできたのは飯田さん。
「えーっ!」
「ほんとに!?」
「男!? 女!?」