「今の話、聞こえたんだけど。日直の仕事、藤森に押し付けたってやつ」
「あ、ああっ、それはぁ……」
途端に、気まずそうに顔を引きつらせる平田。
聞かれちゃまずい話を聞かれた自覚はあるようだ。
「あの、私すごく急いでて……藤森さんなら、大丈夫かなって……」
なんだそれ?
「ご、ごめんねっ……。悪気はなかったんだけどぉ……」
しおらしく眉をさげて、必死に言い訳する。
「てかさ、謝る相手、違くない?」
「……っ、そ、そうだねっ。じゃ、じゃあ私急ぐから」
引きつった笑顔を見せながら、平田は階段を降り、他の二人もそれに続くように慌てて階段を下りて行った。
おいおい。 戻って日直の仕事をやろうとか思わないのかよ。