「このまま、しちゃう……?」
くぐもった声で聞こえた言葉は、思考を停止させた。
「えっ……、」
しちゃうって、あの、その。
つき合ってもないのにキスしてるだけで罪悪感でいっぱいなのに。
これ以上、なにをするっていうの……。
「嶺亜たちなんて、今頃もっとすごいことしてるよ」
だ、だからって。
ふたりはつき合ってるし……って、兄のそういうのなんて想像したくないよっ。
凪くんの呼吸は、それからだんだん落ち着いたけど。
何もしゃべらなくなったから、声をかけてみる。
「……凪くん……?」
呼びかけても、背中を軽くトントンたたいても反応はなく。
耳をすますと、スースーと規則正しい呼吸が聞こえてきた。
えっ、もしかしてこの状態で寝ちゃったの!?