この感覚、初めてじゃない。


……やっぱり体育祭のあれは、キスだったんだ。


「ふはっ……」


力が抜けてしまった私の体は、そのままベッドに沈み込んだ。


凪くんはそんな私を追いかけて、キスを続ける。


唇に触れるだけの優しいものじゃなくなって、舌がねじ込まれてくる。


「やっ……凪っ……んっ……」


体をよじっても凪くんは逃がしてくれなくて、私は合間合間に酸素を確保するので精いっぱい。


キスって、つき合ってなくてもするものなの?


好きじゃなくても出来るの──?


「やべえ、止まんねえ……」


ひとりごとのように言葉を落とした凪くんは、私の首に顔をうずめ、ぎゅーっと抱きしめてきた。


乱れた呼吸を、ゆっくり整えている。


いつも余裕たっぷりな凪くんの見慣れない姿に、私のほうが恥ずかしくなってくる。