今日の日直は平田(ひらた)だった。クラス内カーストでは上位に立つ派手な女子。


そんな平田からすれば、藤森は下に位置する女だろう。


だからって、"地味ちゃん"だなんて。


なんだか俺が貶されているみたいで、胸の中がモヤモヤしてくる。


「そーそー。親が病気で入院してるからお見舞い行くって言ったら、代わってくれたの」


「えっ? 夏希の親、入院してんの?」


「嘘に決まってんじゃーん。机拭きなんてめんどくさいし、早く彼に会いたいし~」


「あー、悪いんだ~」


はあ? 嘘ついて藤森に日直の仕事を押し付けたのかよ。


「嶺亜くんに言いつけたりしないかな。藤森さんは騙せても、嶺亜くんは騙せないかもよ?」


「大丈夫だよー。あの子にそんな度胸ないって」


「それもそっか。てかさー、 藤森さんが嶺亜くんと双子とか信じらんないよね」


「うんうん、超地味だし。全部いいとこ嶺亜くんに持ってかれたんじゃないの?」