放課後。
これから部活のため、体育館へ向かっていた途中でバッシュを忘れたことに気づいた。
「あ、やべえ。バッシュ忘れた」
「だっせー」
祐樹に笑われる。
「うるせーよ」
もう体育館は目の前というところで、また4階まで上がるのかと思うと面倒すぎる。
でもバッシュがないと部活には参加できないし、仕方なく戻ると、階段上から女子数人の声が聞こえてきた。
「アレ? 夏希今日日直じゃなかった? 机拭きは?」
「いーのいーの。地味ちゃんに代わってもらったから」
「きゃはは。地味ちゃんて、藤森さん?」
地味ちゃん……?
俺は階段の途中で足を止めた。