「ちょっと、離してっ……」


離れたいのに、体が密着してて離れないんだ。


「離してって、抱き着いてきたのは乃愛だからね?」


「わ、私は全然記憶になくって、布団かとっ……」


心臓はもう破裂寸前。


「ふふふっ」


イジワルく笑った凪くんは、ようやく私の体を離してくれた。


「ど、どうして、ここに凪くんが……」


今度こそ布団を抱きしめながら、ベッドの上に正座する。


カーテンの間から差し込む光が、凪くんの髪の毛を照らし、アッシュグレーがキラキラ輝いて見える。


朝からなんてカッコいい……って、そんなこと考えてる場合じゃない!!


「おばさんに、嶺亜と乃愛を起こしてきてって頼まれたんだ」


凪くんは、悪びれた様子もなくさらっと言った。


お母さん!!!


私は仮にも女の子だよ?


嶺亜はいいとして、私を起こして来てって、どういう神経してたらそんなこと頼めるんだろう。