「じゃーなー」
「おう」
5組の嶺亜と別れ、俺は3組の教室へ入った。
藤森は、昇降口で別れたあとさっさと教室へ入ったみたいだ。
すでに自分の席に座り、カバンの中身を机の中にしまっている。
藤森乃愛。嶺亜の双子の妹ってことで、最初は注目されていた。
嶺亜があれだけイケメンだから、どれだけ妹は可愛いのかって男子もこぞって確認しに行っていた。
けれどそいつらはそろって「ナイナイ」と言って戻ってきた。
確かに、見た目はこういっちゃなんだけどパッとしない。
イマドキ、真ん中分けにしてきっちり耳の下で結んでる女子高生なんてなかなかいないだろう。
目もかなり悪いのか、分厚い黒縁メガネをかけている。前髪も長く、そもそも顔がよく見えない。