「いーじゃんーいーじゃん、俺も乃愛が注目浴びて兄として嬉しいし」
「そんなのんきなこと言ってる場合かよ。乃愛が可愛いのがバレてどうすんだよ!」
「ライバルが多い方が燃えるだろ?」
こいつ、ドSだ。親友の恋路を応援する気はあるのかよ。
これじゃあ、彼氏になるどころの話じゃないだろ。ライバルは今日一日で山のように膨れ上がったはずだ。
なんで急にイメチェンなんて。
もしかして、誰か好きな男でも出来たのか?
俺は不安で仕方なかった。
お昼休み。
「凪くんっ……」
乃愛が話しかけてきた。
今日はいつもの朝の挨拶ができなかった。乃愛の周りに人だかりが出来ていたせいだ。
乃愛から話しかけてきてくれるなんて、天にも昇る嬉しさなのに。
「なに?」