萌花ちゃんを慣れ慣れしく名前呼びしたその人は、ハタチをちょっと超えたくらいの金髪のお兄さんだった。オシャレだけど、なんだかチャラい。


……嶺亜に言ったらどんな反応するだろう。


きっと嫉妬の鬼になるからやめておこう。世の中、知らなくてもいいことってあるよね。


私は萌花ちゃんと隣り合った、真っ白いオシャレな椅子に案内された。


「今日はどんな感じにしますか?」


なんて言われても、私にはわかんない。


いつも、なじみのおばちゃんにお任せだから。


「あの、えっと……」


挙動不審に目をキョロキョロ泳がせていると、


「このカタログから、イメージに近いものってあるかな?」


担当さんが渡してくれたのは、オシャレ女子の髪型が載った雑誌。