「どういう状況だよ。まさか寝込みを襲ったわけじゃないだろうし、さすがの乃愛もそこまで鈍感じゃねえぞ?」
嶺亜がそういう気持ちもよくわかる。
「実は……」
目隠ししてたことを言うかどうするか……。
でもきっと、変態だと言われるに決まってる。
やめておこう。
「いや、いいんだ。こっちの話」
「はあ? つうか、合意なしに変なことしたら親友だって容赦しねえから」
「はいはい、わかってますよ、お兄様」
「お前の兄貴になったつもりはない」
……先が思いやられる。
もし乃愛を俺のものにできても、嶺亜っていうデカイ壁があるんだもんな。
黒澤がいなくなってホッとしたのもつかの間、それを考えると少し頭が痛くなった。