「はあっ!? 乃愛にキスした!?」


「まあまあまあ、落ち着けって」


今にも胸倉をつかんできそうな嶺亜の前に両手を押し出して、なんとかなだめる。


放課後の部室。


体育祭のあとの出来事を話すと、嶺亜は思った通り目を剥いた。


自分で気づいてないだろうが、かなりのシスコンだ……。


「お前が言うセリフじゃねえわ」


はんっ、と横に息を吐いて、俺をぎろりとにらむ。


「いや、なんつうか……。どうしても止められないときってあるだろ」


「ないわ!」


……ないのかよ。