マジで疲れた……。
吹き出す汗を拭いて、タオルを顔にかぶせて休んでいると、
「大丈夫……?」
この体育館に似つかわない細い声が聞こえた。
えっ?
タオルをずらすと、見えたのは天井ではなく乃愛の顔。
……どうしてここに乃愛が?
疲れすぎて、俺は幻覚を見ているのか?
そろそろと手を伸ばしてみると、頬に触れた。
柔らかくてあたたかい。
夢なら冷めないでくれ──
「な、凪くん……?」
また乃愛の声が聞こえた。
──これは、夢じゃない……?
「……乃愛……?」
ガバッと体を起こすと、そこには確かに乃愛がいた。
制服姿で体育館の床に座っている。