ずっとつながれたままだった手は、昇降口までつくと離された。


うわあ……汗、大丈夫だったかな。心配で反対の手をこすり合わせて確認する。


ビックリしちゃった。急にあんなこと言うから。


「あのっ、ありがとう」


私が手伝わなくていいように、黒澤先生にああ言ってくれたんだよね。


なんでもかんでも引き受ける私にイラついたのかな。


きっと、日直の仕事を代わった時も、そんな私にあきれてたのかも。


お礼を言うと、凪くんは「ん」と短く返事をして。


「嫌なことは、ハッキリ断ったほうがいいよ」


……言われちゃった。


わかってる。嫌って言えない私にも原因があること。


私が小さくうなずくと、


「じゃ」


凪くんは軽く手を挙げて、元来た道を戻ろうとした。