「わわわっ……!」
ばくんばくんと心拍数が上がっていく。
やっ、こんなの耐えられないっ。
この顔面をこの距離で直視できるほど私の心臓は強くない。
「ねえ」
それでも、この距離で尋問を続ける凪くん。
「ううん、そんなことないっ」
「だったらいいだろ」
凪くんはひとりでまとめるように言うと、やっと距離を取ってくれた。
掴んだ手はまだ放してくれないけど。
はあっ……心臓止まるかと思った。
「藤森。遅いから迎えに来た」
ビクッ!
今度は背後から低い声が聞こえてきて、さーっと背中に冷や汗が流れる。
黒澤先生だ。来ちゃったよ。どうしよう……!
私は凪くんと黒澤先生を交互に見る。