「あのっ……」
「なに」
イライラしすぎて、返事がぶっきらぼうになるのが自分でもわかる。
「……手がっ……」
そう言われて手を見ると、掴んだ箇所が少し赤くなっていた。
力が入りすぎていたみたいだ。
「あ、悪い」
慌てて手を離すと、乃愛は大丈夫というように、口元に笑みを浮かべた。
戻るとすぐに俺らの出番がやってきて、ぎりぎりで紐を結びなおし、黒澤と肩を組んでスタートした。
なんでよりによってコイツがペアなんだよ。
「いっちに、いっちに……」
当然、息なんか合うはずなく。
「お前もっと合わせろよ」
「はあ? そっちだろ!」
アンカーのくせに、俺らの二人三脚は散々だった。