クソッ……。
「……乃愛、行くよ」
俺は冷静を装い、強引に乃愛の手を引っ張りながら歩いて行った。
アイツなんなんだよ。
「……どうしたの?」
そんな俺に恐る恐る声をかけてくる乃愛。
「実習生と随分仲がいいみたいだな」
皮肉っぽい言い方になってしまったが、聞かなきゃ気持ち悪い。
男子との関りなんてない乃愛が、どうしてよりによって黒澤と……って気持ちが先行して。
「えっ? あ、えっと、岡本先生から頼まれて、放課後一緒にお手伝いをして……」
「は、マジで?」
そんなことしてたなんて知らなかった。
乃愛が頼まれたら断れないのをいいことに、岡本まで……。