それだけで、撃ち抜かれそうになる胸。
今の乃愛は地味な姿だけど、本当の姿を知っている俺は、どんな姿だって可愛く見えて仕方ない。
重症だな……と自分でも思う。
って、そんなのんきなことを考えている場合じゃない。
「ちゃんと水で流しとけ。バイ菌が入ったら困るからな」
気づけば、黒澤が蛇口をひねって乃愛の膝に手を当てていた。
なに馴れ馴れしく触ってんだよ!
「どけよ。俺がやる」
黒澤の手が乃愛の足に触れたことがムカついて、俺はヤツを押しのけるように割って入った。
「乃愛、染みるか?」
「えっ? ううん、大丈夫」
傷口に触れないように気を付けながら、チョロチョロと水をだして土を取って行く。