顔が……近いっ……!


緊張も限界になったところで、黒澤先生は顔を離した。


ど、どうしてこんなことするんだろう。


私が困っているのを見て、楽しんでるように見える。


ぼやけた視界で、黒澤先生をぼんやり眺める。


「藤森さんは彼氏いるの?」


「へっ? い、いませんよ!」


そんなことを聞かれてびっくりする。


私に彼氏の有無を尋ねてきた人なんて、黒澤先生が初めて。


見た目から、彼氏なんて100%いないって思われてるはずだもん……というか、私の彼氏の有無に興味のある人なんていないはずだし。


「ふーん、そんなに可愛いのにねえ。もったいない」


「か、かわいい……?」