廊下に出れば、部屋がかなりの熱気に包まれていたと気付く。

頬が熱い。

恋バナは好きだし楽しいけど、自分のことを話すのは恥ずかしさもあって。

おまけに視線の先には遥斗くんがいる…し。


ふぅ、と深呼吸をした。


パーティールームに戻る途中。

色々な部屋から歌声がもれている中で「お、衣織ちゃんじゃーん」と声がかかった。


見れば夏生くんがこちらに向かっている。

その手にはソフトクリーム。

ドリンクバーを頼めば食べれるそれは、前に食べた時、すごく美味しかったのを覚えてる。

私もあとで食べようかな…って眺めていたら、夏生くんが隣に並んだ。



「そうだ、お店決めるのとか手伝ってくれてありがとね」

「ううん。こっちこそ幹事ありがとう」



手伝った、と言ってもこのカラオケを提案したくらいだし。



「ここ広くて綺麗でいいね。みんな気に入ってたよ?」

「本当?ならよかった」


夏生くんは隣の席で『打ち上げの場所どーすっかな』と頭を悩ませていたから、役に立てて嬉しい。


パーティールームの手前。
夏生くんは「あっ!」と足を止めた。


「衣織ちゃんにイイコト教えてあげる」

「イイコト…?」


ってなに…?