けれど、どんな風の吹きまわしなのか眞紘は離してはくれなかった。


「まひっ…んっ、」

「…」


それどころか眞紘は薄っすらと目を開けたまま、抵抗しようとする私の事をジッ…と見ている。


深い口づけ。

少し空いた隙間から舌が割り込んで。


引き気味になる私を押し、もう少しで押し倒される……とまでいったところで唇は離れていった。




「……え、…なに、」




────けれど、クルクル、と。

何かを思ってるのかそうじゃないのか、ただ徐ろに髪に視線を向けて指を引っ掛ける眞紘。


今度はなんだと言わんばかりに私の毛先を弄び始めるしで。

この状況で"え、なに"とだけしか聞かない私も私なんだろう。


だってあの晄と付き合ってるくらいだし。

自分の彼氏が、目の前で他の女とヤろうとしてる場面に遭遇しても平然としてる女だし。

もともとそういった事には常識なんてもんがない私は、ほんの眞紘の気まぐれなのだろうというくらいにしか捉えていなかった。



……けれど、

何くわぬ顔で髪を弄る眞紘へと目を向ける。