吐き捨てるようなそれ。

顔色一つ変えない私の頬に、同じようにシレッとした顔をする眞紘はまだ手を添える。

パサリ…と雑誌が床に落ちた。

けれどそれを拾うこともさせないかのように、私の顔を上へと向かすようにして、涼しげな瞳を只管に浴びせてくる。



角度をまたつけて、それが近づいて。

────何故か抵抗は、できなかった。



「……っ、」



……私は眞紘とキスをしている。

付き合ってもいない相手と、特に馴れ合いもあるわけでもない相手と。

なんの気まぐれか。はたまた眞紘もこういう人間なのか、と。

何度も何度も寄せては離れ…寄せられる唇に、上手い判断が下せない。



「……苦しい顔、すれば?」

「…まひ、んっ…」



……そこでやっと、現実に引き戻されたんだと思う。

何でこんなことしてんだって思った私は、眞紘の名を呼んで離れるようにと訴える。