とんだ気まぐれ野郎だ。

アンタがする全ての行動に特に理由なんてないのか、と呆れるほどで。

私はまた雑誌へと視線を移してゆく。


けれど。





「苦しそうな顔」





…ヤツはとんでもないことを言ってきた。

ピタリと固まる私は、"起きていた"という最悪なパターンであったことを再確認したんだ。



「……能面のお前が、すんの?」

「……っ、」



少なからずむせ返りそうだった。

あんな場面を聞かれていた。

しかも私のその事情なのだから、いつも貫いている平常心も少しは乱されてしまうようで。



「……知らないって……」

「……」



私が知るわけない。

見てるのは晄だし。

そりゃ息苦しかったら苦しそうな顔くらいするんだから、大したことはないでしょって思ったり。