────あそこは私のお気に入りの場所。
そう思ってハタ、と何かに気づいた。
バサリと地面に落ちるバイク雑誌。
ムクリ、と状態を起こすなり見えてくるのはあのハチミツ色の髪。
首の後ろを軽く掻く、その気だるげな男は────ゆっくりと振り返り、ひんやりと冷たそうな瞳を此方に向ける。
「……眞紘」
思わず声が溢れた。
長い前髪に隠れた瞳からは、確実に視線というものが向けられて。
首の後ろに手を置いたまま足を立てて、何も言わずに此方を見てくる眞紘。
「……いた、の?」
「……」
だって状況が状況。
ヤツは寝てたのかそうじゃないのか。
いや。いくらなんでも冷めてるからといっても、自分が色事をしている場面を他人に見られるような変な趣味は持ってない。
そんなの、死ぬ。