私はそういうものに興味も何もないからよく知りはしないんだけど、女によってはそういった権力を求めて晄に近寄る者もいる。

……だから、晄は私がいいんだ。

干渉したいと思うこともない私が、楽だから。




「んじゃ、適当にゆっくりしてって?」

「うん」

「終わったら、俺ん家行こーね」

「うん」




幹部室の扉の前でもう一度キスを落としてくる晄は、ヒラヒラと手を振ると自分が使っている部屋へと姿を消していく。

考えたのは、仕事何やってんのか知らないけど、大変そうだな…ってそんくらいのこと。

冷めてるっちゃ、冷めてるけど、まぁいい。




…さて、何しようかな。

なんて思いながらソファーに腰を下ろし、その辺に置いてあった雑誌をペラペラとめくっていたんだけど、








────カサリ。





部屋の右奥。窓側に向けて置いてある横長ソファーの奥から、何か物音が聞こえてきた。