とびきり甘い声。

私より随分と背が高い晄は覆うようにして私のことを抱き締めてくる。



「イー匂い」

「…別に、普通だよ」

「ううん。超イー匂い。…好き」

「…あっそ」

「莉央のことも、好き」

「……ん」



よく晄は"好き好き"言ってくる。

きっと皆に言っているんだろうって分かっていながらも、嘘なんかではなくちゃんと本音でもあるそれは、少ながらず悪い気はさせない。

晄はこの一瞬を、愛してくれるから。

"好き"って、確かに言ってくれることが私にとって大きなことだったり。





「……こっち向いて」






すると熱のこもった声が投げかけられた。

ポソリと囁くように誘いかける晄は、とんでもない甘いマスクを被ったまま私の頬に触れて顔を上げさせた。