美織は疑わしい眼差しを只管に晄にぶつけていた。

恭平も豪太も少し呆れ気味に笑っていて、私はただ一人困らされる。



「…分かったよ」

「やった!行こ!莉央大好きっ」



ポンポンと出てくる甘い言葉。

私はグングンと手を引かれると、上の階へと連れていかれる羽目になる。

正直いって他の女の子をチョイスしてもいいんじゃないかと思うけれど、晄にとって私はお気に入りらしいからよくこういう状況に陥ることがあって。



「…莉央」



それはフゼアの香り。

────幹部達が使っている大部屋へと入るなり、晄は振り返って私を抱き締めてきた。